敗戦記念日

小学校4年の夏、疎開先の栃木県で敗戦を迎えました。大家さんの家に集まり、疎開者たちと敗戦の言葉を聞きました。もちろん天皇の言葉は難しくて何を言っているのかまったく分かりません。ただひとつよく覚えているのは、今夜から空襲がないのだということだけです。それでも私は20年くらいの間、サイレンが鳴るとグーッと胃が痛くなったものでした。空襲を経験した人はみんな同じではないでしょうか。

それでも東京の家が爆撃に遭わず、比較的早く自分の家に戻れた、幸運な一家でした。いまでも当時疎開した時の人々とは本当の親戚より親しくおつきあいをしています。

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8月半ば

6月に粒来哲蔵さんのご逝去を知りました。「読売新聞」を購読していた妹がすぐ新聞記事を切り抜いて持ってきてくれたのでした。私が最後におめにかかったのも粒来さんが読売文学賞を受賞された日で、授賞式に招いていただいたので喜び勇んでお祝いにでかけたのでした。思ったより詩人の出席者が少なかったので、「あなたはどういうお知り合いなのか」と不思議がられたのを覚えています。思えば確かに私はあまり粒来さんと関係のない所で詩を書いていたなあと思います。人間て変な所で惹かれあい、変なところで別離しあうものですね。読売文学賞の日、二人で撮っていただいた、大判の写真を、勉強机の前にかざり、追悼の気持ちとしています。この壁は私の大切なものだけ飾る場所で、一番好きな清宮質文の版画「夜明け」と「入日」が架けてあります。清宮さんの絵を買う時、まだお元気だった鶴岡善久さんに画廊を紹介していただいたのも遠い思い出になってしまいました。のちの日、鶴岡さんは画廊からお礼として清宮さんの大きな画集を贈ってもらったのだそうです。めでたし。

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もう7月ですね

どうもなかなかパソコンが身につかず、よろよろと書く有様です。長らくご無沙汰した間に貴重な本(もちろん詩書というべきものです)が出版されました。樋口伸子さんの書評集「本の瓶詰」(書肆侃々房)については先に触れましたが、一人一人著者の大切な部分にさりげなく触れていく、決して長々しくない紹介に感嘆するばかりです。

手元には「明峯明子全詩集」があります。明峯さんは2002年に87歳で亡くなられました。実に静かな詩人で、北村太郎さんの愛弟子と言ってよい人です。生前3冊の詩集を上梓されましたが、このたびご長女の晶子さんが全詩集として一冊にまとめられました。先の3詩集には未収録の作品も多いうえに、隠れた愛読者も多い詩人なので、ご一読勧めます。花神社刊。

私はあまり「新し好き」ではないので流行の本というのはほとんど読まず、書棚からぼろぼろの愛読書を引っ張り出しては(ジッドとかトルストイとか)読むたびにほれぼれしているヒトです。ところが先日、妹が学術書を買っている傍で退屈して待っていたら、すぐ横に堆く積んである本があります。あまり退屈なので「これください」とやけになって一冊買ってしまいました。買ってから気がついたのですが又吉直樹の「劇場」でした。あんまり面白くて一晩中読んで朝になってしまったテイタラクです。それを又、詩人壱岐梢さんに喋ったら、すぐ同作者の「火花」をプレゼントしてくれる幸運。みんな文学に熱心なので、私のような行き当たりばったりの人間は恥じ入るばかり。

さて、最近魅力的な詩集を沢山読んだので、列挙しておきます。まず先の壱岐梢さんの新誌集「一粒の」、佐藤洋子さんの「海の落とし子たち}、秋山基夫さんの「月光浮遊抄」、水こし町子さんの「いくつもの月」。92歳になって処女詩集を出された秋島芳恵さんの「無垢な時間」。若い人と思われる中陣英子さんの「夢に見し木の名前を知らず」など。次の機会に書かせていただけたらと思ってます。

 

 

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5月に

冬の間、雑用に翻弄されていましたので、まとまったことがご報告できませんでした。けっこういろいろなことがありましたが、近頃、足下が危ないので、混んでいる美術展に行けないのも情け無いです。結局本ばかり読んでいます。それも新しいものではなく、古い愛読書ばかり、引きずり出しては改めて感心しています。フォークナー、カズオ・イシグロ、宮澤賢治、ジッド(私の若い頃はジードと表記したのですが、いまはジッドなので、遊びにきた孫のガールフレンドに聞いたところ、どちらでもいいのだそうです)。私は外国語音痴なので、近頃のように孫たちが簡単に外人フレンドと遊んでくれると助かります。 賢治の作品で何回も飽きずに読むのは「土神ときつね」「化物丁場」。新しい本でPEN・BOOKSのダヴィンチを買いました。ダヴィンチの作品中、私が一番好きな洗礼者ヨハネが表紙なので、珍しく思い買ってみたわけ。6月の勉強会で仲間と読み会うことにしました。

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5月になって

いろいろ忙しくしていました。石原吉郎さんの「思い出」を頼まれて一心不乱に取っ組んでいたのですが、思ったより難航して長い時間が経ってしまったのです。かって石原さんのかなり長いエッセイを書いているので、重ならないように注意したのですが、同じ人について書くので重ならないのは無理というものです。

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