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「満洲浪漫」を読む

Posted by on 2012年11月9日

「満洲浪漫」(大島幹雄著)を読む。大学生協に申し込んでおいたが、なかなか取りにいけなかったところ、受取役を引き受けてくれた人がプレゼントしてくれるという妙なことになってしまった。この著書の主人公長谷川濬は長谷川四兄弟(林不忘、潾二郎、四郎)の三男にあたり、「偉大なる王」(ニコライ・バイコフ著)を初めて日本に紹介した文学者として知られている。四兄弟の中では一番地味な存在で、現在ではあまり一般に知られていない。私1990年、長谷川潾二郎の画集を編集発行した(当時、ほとんど知られていなかった画家なので、ご親族からまで絶対売れませんよ、と心配された)。しかし2010年、潾二郎の大回顧展が開催され、多くの人に知られる画家になってしまった。画集はあっという間に売り切れてしまい、嬉しいのと一緒に、「私だけの静かな潾二郎さん」がいなくなってしまった。私が長谷川濬を知ったのは、潾二郎画集を作ったご縁である。林不忘、長谷川四郎の著作は潾二郎の絵より先に知っていたが、長谷川濬については全く知らない、有名な「偉大なる王」を買ってみたが、訳者は別の人だった。ただ画集の関わりで、濬さんのご長女嶺子さんは何回か私のアトリエ夢人館に遊びにみえた。元気な明るい女性で、こちらが励まされる感じの人だったと記憶しているが、すでに故人となられたことも、今回、「満州浪漫」によって知った。私が画集を作り上げた時、潾二郎の絵画の大コレクターだった病院長、岩井宏方先生がお祝いの席を設けてくださった。先生は神彰と長谷川濬が借金の依頼のため訪ねてきたことがあると話されていた。神彰の手がけた仕事が莫大な損失を出し、翌日は破産宣告を受けるといったような話だった。見たこともないような金額を聞かされ、私たち、ご招待を受けた側はシィーンとしていたものである。私はちょっとした野次馬根性もあって、今回、長谷川濬の生涯を知りたく「満洲浪漫」を読むことになった。しかし、一般的には幸せから遠かった詩人の生涯を温かく見守っている著者の心意気に慰められながら、よいひと時を持つことができたのだった。私自身が詩を書く人間なので、詩人とはこういう果もなく彷徨っていく魂なのではないか、と辛く身に沁みるのだった。

 

 

 

 

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