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10月の終わりに

Posted by on 2013年10月31日

月に一度は夢人館からなにか通信をお届けしようと思って始めたブログなのに、あっという間に月末になってしまいます。介護の必要な家族を抱えていると、雑用が多く、時間の過ぎるのがいやに早く感じます。最近、なにをしたかというと、極々個人的なことですがカイユボット展(ブリジストン)を見に行きました。印象派展がある度に1,2点目にしたことがあり、その都度、「へんな名前!」と思っただけで格別心に残った画家ではなかったのです。

今回、日本初の個展を見て、その静かな、清々しい画面に魅了されました。1,2点見ただけで浅はかな感想を述べるものではありませんね。たぶん代表作と思われる「ヨーロッパ橋」(1876年作。画家28歳の作品)の美しいこと。私の好みではこの年代に描かれた作品が展示作品全体の中で一番心ひかれました。画面を斜めに横切っている、やや暗い灰色の鉄の欄干、その欄干の柔らかな灰色の影。犬の影、人物の影、人々の衣服、みんな灰色で微妙な調和を見せながら、なぜかとても清らか。その清々しさが、「あ、これは朝なのだ」と私に思わせてしまったみたい。「朝の清らかな空気がこちらへ流れてくるみたい」と詩友樋口伸子に伝えたわけです。「でも、夕方かもしれない」と彼女は言いました。「なんだか懐かしい空気が流れているから」

そう言われると、辺りは急にパリの、様々な人が様々の生活を抱きながら歩いていく、明るい午後のようにも見えてくる。優れた絵って不思議です。このことは「孔雀船」83号に寄稿しておきました。

また少々前になりますが中部地方の伝統ある詩誌「アルファ」が次号で終刊となる旨、大石ともみさんからお手紙がありました。この詩誌は私が親しかった黒部節子さんが創刊者の一人で、とても優れた詩作品、翻訳詩が紹介される、あか抜けた詩誌でした。残念ですが、つまり長い長い年月が私たちの上を流れていったということですね。

それと前後して、やはり中部地方の詩人鈴木孝さんのご逝去を知らされました。彼の主催していた詩誌「宇宙詩人」の追悼号であり、終刊号となった一冊が届き感慨無量でした。鈴木さんとは近年ご無沙汰続きでしたが、詩誌「P&T]を主催されていた頃、紙上に狂気の画家リチャード・ダッドの連載をさせていただき、大変お世話になったこと今でも感謝しています。大学の先生なのにどこか子どもらしい、無邪気な一面があり、いつだったか、ベルギーのホテルに着いた途端、FAXが届いていますとフロントに言われたことがあります。父か母に異変があったかと、真っ青になってしまいましたが、鈴木さんからの通信で「楽しいベルギー旅行を祈ります」。怒りたくなったが、次の瞬間笑ってしまいました。10月も最後の日、なんだか泣き笑いをしてしまいそうです。

 

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